歯がなくなった時はどうする?

歯牙移植について

歯が失われた時に噛めなくなった場所を補う方法はブリッジやインプラント、義歯だけではありません。条件は限られますが、歯牙移植という方法で回復することが可能な場合があります。歯牙移植とは患者の口の中で余っていている歯などを必要な場所に移し替える事です。

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この患者は10数年前の勤務医時代から拝見している患者さんです。奥歯の殆どの神経が取られていましたが、特に右下7は歯の残りが少なく、殆どが土台の金属で補われている状況です。1997年痛みが生じ歯が縦に割れており保存不可能と判断しました。 部位が最後方歯であり、ブリッジの適応ではないことから欠損を補うにはインプラントか歯牙移植しかありません。この患者の場合いつも汚れが溜まってしまっている右上8番(親知らず)があったので、これを抜歯した右下7部に移植することにしました。

2015-10-11 10.15.16移植した歯はワイアーを用いて前の6番に固定します。この時点では移植歯周囲の骨が再生していません。この期間(3ヶ月程)は待機時間になるので、抜歯により失われた神経の治療を終え仮歯を入れ治癒を待ちます。

IMG_14832000年検診に来院頂いた時のレントゲン。歯の周りの骨が綺麗に再生され、現在も何の問題もなく機能しています。 歯牙移植はインプラントに比べ対象となる方が限られます。 ただし自分の歯を使用しますので、骨にダイレクトに同化してしまうインプラントに対し、歯と骨を繋ぐ歯根膜という組織も維持されるのがメリットです。 運良く余っている親知らずがあるようなケースでは非常に有効な術式だと考えています。